CISSP(Certified Information Systems Security Professional)は、情報セキュリティの分野で最も権威のある資格の1つとされています。
しかし、一部では「CISSPは意味ない」「取っても実務で役に立たない」と言われることもあります。
実際のところ、CISSPは本当に意味がない資格なのでしょうか?
この記事では、CISSPの価値、メリット・デメリット、どんな人におすすめなのかを詳しく解説します。
目次
CISSPとは?資格の概要と特徴
CISSPの基本情報
CISSP®とは
CISSP(Certified Information Systems Security Professional)とは、ISC2(International Information Systems Security Certification Consortium)が認定を行っている国際的に認められた情報セキュリティ・プロフェッショナル認定資格です。
出典:ICS2>CISSPとは
特に、企業のセキュリティ管理やガバナンスに関わる人にとっては、最も評価の高い資格の1つとされています。
- 試験時間:4時間(125問)
- 試験形式:CAT(コンピュータ適応型試験)、選択問題
- 合格基準:最低700点(1000点満点)
- 受験料:$749(約11万円 ※為替により変動)
- 受験方法:ピアソンVUEの試験センター
- 受験資格:5年以上の実務経験(※一部の資格で1年の免除あり)
CISSPの8つのドメイン(出題範囲)
CISSPは、以下の8つの分野から出題されます。
- セキュリティとリスク管理(リスクアセスメント、ガバナンス、コンプライアンス)
- 資産のセキュリティ(データ分類、データ保護、暗号化)
- セキュリティアーキテクチャとエンジニアリング(システム設計、セキュアコーディング)
- 通信とネットワークセキュリティ(プロトコル、ファイアウォール、VPN)
- IDとアクセス管理(IAM)(認証・認可、シングルサインオン)
- セキュリティ評価とテスト(脆弱性管理、ペネトレーションテスト)
- セキュリティ運用(ログ監視、インシデント対応、フォレンジック)
- ソフトウェア開発セキュリティ(セキュア開発ライフサイクル、アプリケーションセキュリティ)
CISSPが「意味ない」と言われる3つの理由
CISSPが意味ない理由① 実務で直接役立つスキルが少ない
CISSPは、セキュリティの管理やガバナンスに関する試験であり、実際の技術的スキルはあまり問われないため、「エンジニアとしてのスキル証明にはならない」という声もあります。
例えば、CISSPでは次のような技術的なスキルは詳しく問われません。
- ペネトレーションテスト(侵入テスト)
- セキュアコーディング(安全なプログラム開発)
- 実際のファイアウォールやIDS/IPSの設定方法
そのため、技術職のエンジニアやハッカー向けの資格ではないことを理解しておく必要があります。
CISSPが意味ない理由② 取得条件が厳しく、維持費も高い
CISSPは、取得するだけでなく、維持するためにも(ISC)²に年会費を支払う必要があります。
- 5年以上の実務経験が必要(例外的に4年の経験でOKなケースもあり)
- 取得後も年会費125ドル(約18,000円)を支払う必要がある
このため、「維持費がかかるのに、実務で使わないから意味がない」と感じる人もいます。
CISSPが意味ない理由③ 日本国内では必須資格ではない
CISSPは、外資系企業やグローバルな環境では高く評価されますが、日本国内の企業ではそれほど必須の資格ではないことが多いです。
例えば、日本国内のセキュリティエンジニアの求人では、以下のような資格の方が評価されることもあります。
- CEH(Certified Ethical Hacker)(ペネトレーションテスト向け)
- CompTIA Security+(セキュリティ基礎向け)
- 情報処理安全確保支援士(日本の国家資格)
このため、「日本の企業ではあまり評価されないなら意味がない」と思う人もいるようです。
それでもCISSPを取得する3つのメリット
「CISSPが意味ない」と言われる一方で、取得するメリットが大きいケースもあります。
CISSPのメリット① セキュリティマネジメント職に有利
CISSPは、CISO(最高情報セキュリティ責任者)やセキュリティマネージャーを目指す人にとって、非常に価値のある資格です。
- セキュリティ戦略の立案
- 企業のセキュリティポリシー策定
- インシデント対応の計画
このような業務を担当する場合、CISSPはスキルと知識の証明になり、昇進やキャリアアップに役立ちます。
CISSPのメリット② 外資系・海外企業では高評価
CISSPは、特にアメリカやヨーロッパの企業では高く評価されており、「CISSPがないと応募できないセキュリティ関連のポジション」も存在します。
外資系企業への転職を考えている場合、CISSPは給与アップの大きな武器になるでしょう。
CISSPのメリット③ セキュリティコンサルタントに最適
企業のセキュリティ監査や、コンサルティング業務に関わる場合、CISSPの知識は非常に役立ちます。
特に、ガバナンスやリスク管理の分野では、CISSPは業界標準の資格として認知されています。
CISSPが向いている人・向いていない人
CISSPを取得すべき人
- セキュリティマネージャー、CISOを目指す人
- 外資系・グローバル企業に転職したい人
- セキュリティコンサルタント、監査の仕事をしたい人
- リスク管理やコンプライアンスに興味がある人
CISSPが不要な人
- 技術職(ペネトレーションテスト、SOCアナリストなど)を目指す人
- プログラミングやハッキング技術を深めたい人
- 資格の維持費をかけたくない人
まとめ|CISSPは意味があるが、目的次第
- CISSPはセキュリティマネジメント向けの資格であり、技術職には向かない
- 外資系企業では高く評価されるが、日本では評価が分かれる
- セキュリティの管理・ガバナンスに関わるなら、取得する価値は大きい
CISSPは、技術的なスキルではなく、セキュリティ全体を管理する力を証明する資格です。
「自分のキャリアに本当に必要か?」を考えた上で、取得するか判断するのがベストです。