情報処理安全確保支援士(通称:SC)は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家資格で、セキュリティ分野に特化した「登録制の士業」としても知られています。
高度情報処理技術者試験の一つであり、サイバーセキュリティ対策が求められる現代において注目されている資格の一つです。
「支援士って名前からして難しそう」「午後問題が突破できない」という声も少なくありません。
この記事では、そんな情報処理安全確保支援士試験の難易度・合格率・出題傾向・他資格との比較をわかりやすく解説。
受験を検討している方が、「受けるべきかどうか」判断できる材料を提供します。
目次
情報処理安全確保支援士試験の概要と出題形式
試験区分と位置づけ
情報処理安全確保支援士(SC)試験は、高度情報処理技術者試験の中でも、セキュリティ分野に特化した国家試験です。
合格後は「登録セキスペ(登録情報セキュリティスペシャリスト)」として名乗れる制度となっています。
試験構成
- 午前Ⅰ(共通):他の高度区分と同じ、基本的なIT知識を問う
- 午前Ⅱ:セキュリティ分野に絞った選択式問題
- 午後:長文読解と記述式のセキュリティ応用問題
試験時間・問題数・合格基準
- 午前Ⅰ:50分(30問)
- 午前Ⅱ:40分(25問)
- 午後Ⅰ:150分(4問中2問選択)
- 合格基準:各区分60%以上
登録制度の特徴
合格後、情報処理安全確保支援士として登録するには別途申請が必要です。
登録後は3年ごとの更新(講習受講)義務があり、“名乗りっぱなし”にならない点が特徴です。
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)制度
「情報処理安全確保支援士」とは、サイバーセキュリティ対策を推進する人材の国家資格です。
サイバーセキュリティ対策の重要性が社会的に高まる中で、それを担う人材の育成・確保のために、『国家資格』が誕生しました。
情報処理安全確保支援士試験の難易度の実態
合格率の推移
過去の合格率はおおむね15〜20%前後で推移しており、他の高度試験と同等かやや高めの水準です。
ただし、午後問題の出来によって大きく合否が分かれるため、難易度は「易しくはない」と言えるでしょう。
午後問題が最大の難関
午後では、長文の技術文書を読んで記述解答を行う問題が出題されます。
問題文のボリューム、選択肢の難解さに加え、状況把握・判断力・文章力が問われます。
求められる総合力
SC試験は単なる暗記型の試験ではなく、
- セキュリティ技術
- ロジカルシンキング
- 運用管理スキル
といった総合的な力が求められます。
他資格とのレベル差
ITパスポートや基本情報とは明確に難易度が異なり、応用情報合格レベルの知識+実務的な判断力が求められる点がSC試験の特長です。
他のセキュリティ系資格との難易度比較
情報セキュリティマネジメント試験(SG)との違い
情報セキュリティマネジメント試験(SG)は入門者向け、情報処理安全確保支援士(SC)は実務者・管理者レベル向けとレベル差が非常に大きいです。
CompTIA Security+ や CISSP との比較
- Security+:選択式が中心で出題範囲は広いが、SCより実務寄りで記述はなし
- CISSP:国際資格。出題内容はマネジメント寄りで英語力も必要
難易度と出題形式の違い
SCは日本語記述力が重要で、午後Ⅱでは長文回答が必要。
これは他の資格にはないハードルです。
どんな人が合格している?受験者層の特徴
合格者の多くは、実務経験を持つITエンジニア層です。
とくに以下のような職種の方に向いています。
- セキュリティエンジニア/ネットワーク管理者
- SOC/CSIRTなどの監視・対応チーム
- IT統制・内部監査担当者
- 応用情報合格者(セキュリティ分野に関心あり)
難易度を乗り越えるための学習戦略
午前対策
- 午前Ⅰは共通問題のため、過去問演習で慣れる
- 午前ⅡはPing-tなどでセキュリティ特化の演習が有効
午後対策
- 問題文の読解力と構造把握力を鍛える
- 設問に対して“端的・論理的”に記述する訓練が必要
- 過去問は最低でも5年分×2回以上繰り返し解く
学習時間の目安
- 初学者:150〜200時間
- 応用情報合格者:100時間前後でも対応可
学習ツールの活用
- 書籍:『情報処理安全確保支援士 合格教本』
- Web:Ping-t、Udemy、IPA過去問PDF
- 添削講座や記述式特訓も有効
情報処理安全確保支援士の“難しさ”の価値
難しいからこそ「現場で活きる力」
午後問題を乗り越えることで、実務で求められる判断力・分析力・文章構成力が鍛えられます。
登録資格として名乗れる国家資格
合格後に登録を行えば、「登録情報処理安全確保支援士」として公的に名乗ることができます。
昇格・転職・社内評価への効果
セキュリティ専門職・PM・IT統制担当者など、キャリアアップに直結する評価対象になる場面も増えています。
まとめ
難易度は高いが、それだけの価値がある
SC試験は難関資格ではあるものの、しっかり対策すれば独学合格も十分可能です。
合格のカギは“午後問題”の攻略にあり
読解力・記述力を中心に、戦略的な学習計画を立てることが合格への第一歩です。
セキュリティの専門性を深めたいなら、挑戦する価値あり
今後ますます需要が高まるセキュリティ分野で活躍したい方にとって、SCは信頼性の高い“実務直結型”国家資格です。
ぜひ、自分のキャリアに組み込んでみてください。