「高度情報処理技術者試験ってどれが一番難しいの?」
「将来のキャリアに役立つ試験ってどれ?」

こんな疑問を持っている方のために、この記事ではIPA(情報処理推進機構)が実施する高度情報処理技術者試験の難易度をランキング形式でわかりやすく解説します。
合格率、試験範囲、受験者層、必要な実務スキルなどの要素を総合的に評価し、「どの試験が難しいのか」「どの順で受けるのが理想か」もまとめました。
目次
高度情報処理技術者試験の難易度ランキング
高度情報処理技術者試験とは?
- 経済産業省が認定する国家資格(情報処理技術者試験の中でも最上位)
- 応用情報技術者試験(AP)よりさらに高度な知識と実務能力が問われる
- 試験は年1回(春・秋)で実施され、午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱの4部構成
- 午後Ⅱでは論述式または記述式問題あり(これが難関)
試験ごとに対象となる職種・専門分野が異なるため、自分のキャリアや目標に合った試験を選ぶことが重要です。
出典:IPA>試験区分一覧
2025年度 高度情報処理技術者試験の難易度ランキング
※以下は過去の合格率・出題内容・必要スキル・受験者傾向をもとに総合評価したものです。
第1位:ITストラテジスト(ST)
難易度:★★★★★(超難関)
- 午後Ⅱが超長文の論述形式(1600字)
- 経営戦略・IT戦略・業務改善など、経営視点の課題解決力が求められる
- 対象分野が広いため、対策しにくいのも特徴
合格率の目安:8〜11%
対象者:ITコンサルタント、企画職、IT戦略担当など
第2位:システム監査技術者(AU)
難易度:★★★★★(超難関)
- 午後Ⅱが完全論述形式かつ記述量が非常に多い
- 監査・内部統制・リスク管理など、IT以外のビジネス知識も求められる
- 出題の抽象度が高く、実務経験なしでは論述が困難
合格率の目安:9〜12%
対象者:IT監査、経営層への報告を行う立場の方など
第3位:プロジェクトマネージャ(PM)
難易度:★★★★☆(非常に難しい)
- 午後Ⅱでプロジェクト事例に基づく論述問題
- WBS、進捗管理、リスク管理など、現場経験がそのまま問われる
- 合格者はプロマネ経験者が多く、実務の有無で差が出やすい
合格率の目安:12〜15%
対象者:プロジェクトリーダー、PM、PL、マネジメント職
第4位:ITサービスマネージャ(SM)
難易度:★★★☆☆+(難しめ)
- ITILに基づく運用管理・サービス設計・SLAなどが中心
- 午後Ⅱは1600字論述。運用現場での実体験があると有利
- 記述内容はプロジェクトマネージャ試験と似ているが、より運用特化
合格率の目安:13〜15%
対象者:情報システム部門の運用管理者、サービスマネージャ職
第5位:ネットワークスペシャリスト(NW)
難易度:★★★☆☆(技術的に高い)
- VLAN、VPN、ルーティング、プロトコルなどの専門知識が必須
- 午後Ⅰでの図と文章の読解+計算問題が難所
- 午後Ⅱではネットワーク設計とセキュリティ設計まで出題
合格率の目安:13〜16%
対象者:インフラ/ネットワークエンジニア、セキュリティ担当者
第6位:情報処理安全確保支援士(SC)
難易度:★★★☆☆(技術+法務)
- 脅威分析、対策技術、法的対策、インシデント対応を含む幅広い知識が求められる
- 午後Ⅰは実務寄りのログ読解・セキュリティポリシー設計が中心
- 午後Ⅱではリスク評価や対応方針などを記述形式で問われる
合格率の目安:18〜20%
対象者:SOC/CSIRT担当、セキュリティエンジニア、CISO補佐など
第7位:データベーススペシャリスト(DB)
難易度:★★★☆☆(技術的に骨太)
- SQL・正規化・データ設計など、論理設計+実装の知識が問われる
- 午後Ⅰでは実務レベルのSQL分析・設計、午後Ⅱではシステム構成と設計理由の記述
合格率の目安:13〜15%
対象者:DBエンジニア、設計・要件定義経験者、業務系エンジニア
第8位:システムアーキテクト(SA)
難易度:★★★☆☆(中堅向け)
- 要件定義、機能要件/非機能要件、設計方針を全体像として整理し記述
- 午後Ⅱは構成やアーキテクチャ選定理由を論理的にまとめる力が必要
合格率の目安:13〜16%
対象者:設計リーダー、上流工程担当、システム構築責任者
第9位:エンベデッドシステムスペシャリスト(ES)
難易度:★★★☆☆(専門特化)
- 組込みソフト、リアルタイム制御、ハードウェア設計などが問われる
- C言語を中心とした記述と、リアルタイム処理に関する論点が多い
- 技術レベルは高いが、受験者が専門職に限られるため合格率はやや高め
合格率の目安:15〜18%
対象者:組込み開発者、車載/家電系ソフトウェアエンジニア
高度情報処理技術者試験の難易度に関する共通ポイント
- 午後Ⅱ試験(論述問題)が最大の関門
- 実務経験があるかどうかで難易度の感じ方が大きく変わる
- 出題範囲が広く、独学には時間がかかる
Q&A|「高度情報処理技術者試験の難易度ランキング」に関する よくある質問
Q1.未経験者でも高度情報処理に挑戦できますか?
可能ですが、応用情報技術者試験(AP)レベルの知識は必須です。
いきなり高度区分に挑戦すると、午後試験の長文読解や論述問題でつまずくケースが多いため、まずは応用情報技術者試験(AP)合格を目指すのが現実的です。
Q2.合格率が低い理由は?
主な理由は以下の3点です。
- 出題範囲が広く専門的(設計・開発・運用・マネジメントすべてを問われる)
- 午後Ⅱ試験が論述形式であり、部分点を取るには構成力が必要
- **試験時間が長い(最大6時間超)**ため集中力・体力も問われる
単なる知識暗記ではなく、「実務を論理的に説明できる力」が求められる点が合格率を下げています。
Q3.タイプ別のおすすめを教えてください。
タイプ別のおすすめ試験は以下の通りです。
タイプ | おすすめの試験 |
---|---|
経営・企画系を目指す | ITストラテジスト、ITサービスマネージャ |
管理職・PM志向 | プロジェクトマネージャ、システムアーキテクト |
セキュリティ領域に進みたい | 情報処理安全確保支援士、ネットワークスペシャリスト |
インフラ・技術特化型 | ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、エンベデッドシステムスペシャリスト |
経営×IT×法務を統合して学びたい | システム監査技術者 |
Q4.勉強時間の目安は?
試験区分によって異なりますが、合格には以下の学習時間が目安です。
- 応用情報保有者:200〜300時間
- 初学者:400〜600時間
特に午後Ⅱ対策に時間をかけることが重要で、過去問を徹底的に分析することが合格の鍵になります。
Q5.どの試験から受けるのがいいですか?
おすすめのステップアップ順は以下の通りです。
- ITパスポート(基礎)
- 基本情報技術者
- 応用情報技術者
- 高度情報処理(興味・専門分野に合わせて選択)
この順序で受験することで、知識の土台を固めながら着実にスキルアップできます。
まとめ|難易度は高いが、合格すれば“ITエンジニアとしての信頼の証”
- 高度情報処理技術者試験は「IT国家資格の最上位群」であり、合格率10〜15%前後の難関資格
- 応用情報を経て挑戦するのが現実的
- 専門性と論述力が問われるため、実務経験+体系的学習が必須
- 合格すれば 転職・昇進・年収アップ・国家登録資格取得 などキャリア価値は非常に高い
「高度情報処理技術者試験」は難易度は高いが、合格すれば“ITエンジニアとしての信頼の証”。
得意分野に合わせて挑戦するのが最短ルートです。