「ITストラテジスト」は、情報処理技術者試験の中でも最上位に位置づけられ、経営とITをつなぐプロフェッショナルとして高く評価される資格です。
その難易度の高さから、一部では“神資格”と称されることもあるほど。
合格率は常に10%未満で、試験内容も技術・戦略・文章力のすべてが問われる内容となっています。
「本当にそんなにすごいの?」
「何の役に立つの?」
この記事では、なぜこの資格が「神」と呼ばれるのか、どれほど難しいのか、そしてどんな価値があるのかを、試験制度・合格者像・勉強法・キャリア活用の観点から詳しく解説していきます。
ITストラテジストは“神”資格?
ITストラテジストが“神”と言われる4つの理由
ITストラテジスト試験(ST)は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験で、情報処理技術者試験の中でも「戦略立案」や「経営視点」でのIT活用力を問う、極めて上位に位置する資格です。
ITストラテジスト試験
1.対象者像
高度IT人材として確立した専門分野をもち、企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて、情報技術(IT)を活用して事業を改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者。
求められるのは、単なるITスキルではなく、企業全体の戦略を理解し、それをITで実現できるかどうか。
いわば、ITと経営の両方に精通した“橋渡し役”を証明する試験です。
ITストラテジスト試験は、他の資格と比べても別格の存在とされます。
その理由は、単に合格率の低さではなく、求められるスキルや知識の“深さ”と“幅広さ”にあります。
神と言われる理由① 合格率10%未満の超難関国家資格
合格率は例年およそ8〜10%。
中でも午後Ⅱ論文の採点基準が非常に厳しく、ここで多くの受験者が脱落します。
合格には以下のようなスキルの総合力が求められます。
- 経営・戦略の理解力
- システム構想・IT導入の実務経験
- 高度な文章構成力と表現力
神と言われる理由② 経営視点・IT戦略・システム構想の高度な知識が求められる
ST試験では、IT導入や業務改革といった現場の改善だけではなく、企業全体の方向性や成長戦略に貢献できるレベルの知見が問われます。
これは以下のような出題内容にも表れています。
- 情報システム戦略の策定
- 業務プロセスの改革とIT活用
- IT投資評価と経営判断との連動
- ITガバナンスとリスク管理
技術とビジネスの橋渡しができる人材が試される試験です。
神と言われる理由③ 午後Ⅱ論文試験というハードルの高さ
この試験最大の山場といえるのが、午後Ⅱの論文問題。
2時間で4,000字前後の論文を1本仕上げなければなりません。
しかも求められるのはただの作文ではなく、「経験に基づいた論理展開」ができるかどうか。
- 経験を活かした課題の設定
- それに対する具体的施策の提案
- 成果や効果の論理的説明
これらを型に沿って、読みやすく、かつ説得力のある文章でまとめる必要があります。
神と言われる理由④ 合格者=“ITと経営をつなぐプロフェッショナル”
ST試験の合格者は、社内外から「ITに強く、ビジネスもわかる人」として一目置かれます。
以下のような役割を担える可能性が高まり、キャリアの幅が一気に広がります。
- 経営層の意思決定を支えるIT企画担当
- 大規模プロジェクトにおける上流工程の責任者
- 組織のDXを主導するリーダー的存在
ITストラテジストと他の情報処理試験との比較
応用情報・支援士・プロマネとの違い
ITストラテジストは、「技術力」だけでなく、「経営的視点」や「戦略思考」を持った人材を評価する試験です。
以下のような位置づけになります。
- 応用情報:技術スキルの基礎固め
- プロジェクトマネージャ:IT開発の管理者
- 支援士:セキュリティのスペシャリスト
- ストラテジスト:企業戦略とITをつなぐ人材
難易度・学習範囲・試験形式の違い
他試験と比較して特に異なるのは、「午後Ⅱの論文形式」と「問われる思考の抽象度」です。
範囲は技術領域を超えて経営課題にも及び、対策には「知識」+「実務経験」+「文章力」の3要素が欠かせません。
合格までの平均学習時間
一般的な学習時間の目安は以下の通りです。
- 経験者:300時間前後
- 実務経験が浅い人:400〜500時間
- 社会人が無理なく進めるなら:1日1〜2時間×半年
ITストラテジストの合格者はどんな人?神レベルの受験者像
実務経験10年以上、マネジメント経験者が中心
合格者の多くは、業界経験が10年以上ある中堅〜ベテラン層。システム導入や業務改善のプロジェクトに関わった経験を持ち、その体験を論文に活かしています。
ロジカルシンキング×文章力が問われる
ただ経験があるだけでは足りません。自分の実務経験を構造化し、相手にわかりやすく伝える論理的思考と文章力が問われます。
特に以下の能力が重要です。
- 課題を抽出し、構造化する力
- 解決策を論理的に説明する力
- 文章を時間内に書き上げる構成力と集中力
Q&A|「ITストラテジストは“神”資格?」に関する よくある質問
Q1.ITストラテジストはどんな人に向いていますか?
以下のような方に特におすすめです。
- SEやPMとして上流工程にステップアップしたい
- コンサルタント・IT企画職に転職したい
- 経営層との会話ができる技術者になりたい
Q2.難易度はどのくらい?
高度情報処理試験の中でも最難関レベルです。
合格率10%未満で、午後Ⅱ(論述)の出来が大きく影響します。
ただし、過去問分析と論文構成テンプレートを習得すれば十分合格可能です。
Q3.実務経験がないと受かりませんか?
実務経験がなくても合格可能です。
ただし、論文テーマを「業務風の架空ストーリー」として組み立てる必要があります。
模範解答や添削サービスを活用するのがおすすめです。
Q4.合格後の年収はどのくらい?
ITストラテジスト保持者の平均年収は700〜1000万円前後。
特にコンサル・PM・企画系職種では高水準です。
管理職昇格・転職で大きく年収アップを狙えます。
Q5.効率的な勉強法は?
合格者が共通して実践している勉強法は以下の通り。
午前:過去問道場で5年分×3周
午後Ⅰ:ITECやTACの過去問解説書でパターン分析
午後Ⅱ:論文テンプレート(課題→対応→効果)を固定化し、5本以上練習
特に午後Ⅱの添削は「スタディング」「TAC通信講座」が人気です。
まとめ|ITストラテジストは難しいが、挑戦する価値は絶大
確かに難関試験ですが、それだけに合格したときの信頼・達成感は大きく、キャリアを飛躍的に押し上げる力があります。
この試験の本質は、“経験を戦略に変える力”を問うことにあります。
つまり、ただの業務遂行ではなく、「考え抜いた行動ができる人」であることの証です。
もしあなたが「もっと経営に近いポジションで活躍したい」「自分の市場価値を高めたい」と考えているなら、ITストラテジストは、その覚悟に応える資格です。


