ITパスポート試験では、用語の知識を問う問題だけでなく、公式を使って答えを求める計算問題も出題されます。
「どの公式を覚えればよいの? 」
「計算問題を全部捨てても合格できる?」
「数字や単位の変換が苦手、、、」
「公式を覚えても使い方が分からない、、、」
しかし、ITパスポートで出題される計算問題は、難しい数学の知識を必要とするものばかりではありません。
この記事では、ITパスポート試験で押さえておきたい計算公式を、具体例とともに分かりやすく解説します。
計算問題をすべて完璧にする必要はありません。まずは出題されやすい公式から覚えましょう!
目次
ITパスポートで覚えたい計算公式一覧
ITパスポートの計算問題で押さえておきたい公式を、分野別にまとめます。
| 分野 | 主な計算内容 | 優先度 |
|---|---|---|
| 財務・会計 | 売上、利益、利益率、損益分岐点 | 高 |
| 確率・統計 | 平均、期待値 | 高 |
| システム性能 | 稼働率、スループット | 高 |
| プロジェクト管理 | 工数、進捗率、クリティカルパス | 高 |
| 通信・データ | 通信時間、データ容量 | 高 |
| 割合 | 構成比、増加率、値引き率 | 高 |
| 基礎理論 | 2進数、情報量 | 中 |
特に、単位の変換が必要な問題はミスが起こりやすいため注意しましょう。
財務・会計に関する計算公式
ITパスポートでは、売上や利益、損益分岐点などの計算が出題されることがあります。
売上高
売上高は、商品の販売単価に販売数量を掛けて求めます。
【計算例】
1個2,000円の商品を300個販売した場合は、次のように計算します。
2,000円×300個=600,000円
したがって、売上高は60万円です。
利益
利益は、売上高から費用を差し引いて求めます。
【計算例】
売上高が60万円、費用が45万円の場合は、
600,000円-450,000円=150,000円
利益は15万円です。
利益率
利益率は、売上高に対してどの程度の利益が出たかを示す割合です。
【計算例】
売上高が60万円、利益が15万円の場合は、
150,000÷600,000×100=25%
利益率は25%です。
「何を全体として割るのか」を間違えないようにしましょう。
損益分岐点売上高
損益分岐点とは、売上高と費用が等しくなり、利益が0円になる地点です。
【計算例】
固定費が30万円、変動費率が40%の場合は、
300,000÷(1-0.4)
=300,000÷0.6
=500,000円
損益分岐点売上高は50万円です。
損益分岐点販売数量
1個当たりの販売価格と変動費が示されている場合は、販売数量を求めることもあります。
【計算例】
- 固定費:20万円
- 販売単価:2,000円
- 1個当たりの変動費:1,000円
の場合は、
200,000÷(2,000-1,000)=200個
200個販売すると、利益が0円になります。
平均・期待値に関する計算公式
平均値
平均値は、すべての数値の合計をデータ数で割って求めます。
【計算例】
50点、70点、90点の平均は、
(50+70+90)÷3=70点
です。
期待値
期待値とは、ある出来事を繰り返した場合に、平均してどの程度の結果が見込まれるかを表す数値です。
【計算例】
次のようなくじがあるとします。
- 1,000円が当たる確率:20%
- 500円が当たる確率:30%
- 0円の確率:50%
期待値は、
1,000×0.2+500×0.3+0×0.5
=200+150
=350円
となります。
確率は、20%なら0.2、30%なら0.3に直して計算します。
システムの性能・稼働率に関する公式
稼働率
稼働率とは、システムが正常に稼働していた時間の割合です。
【計算例】
100時間のうち、システムが95時間稼働していた場合は、
95÷100×100=95%
稼働率は95%です。
直列システムの稼働率
複数の装置がすべて正常に動かないとシステムを利用できない構成を、直列システムといいます。
【計算例】
稼働率0.9の装置と、稼働率0.8の装置を直列に接続した場合は、
0.9×0.8=0.72
システム全体の稼働率は72%です。
直列システムでは、装置が増えるほど全体の稼働率が下がります。
並列システムの稼働率
どちらか一方の装置が動けばシステムを利用できる構成を、並列システムといいます。
【計算例】
稼働率0.9の装置を2台並列にした場合、それぞれの故障率は0.1です。
1-(0.1×0.1)=0.99
システム全体の稼働率は99%です。
スループット
スループットとは、単位時間当たりに処理できる仕事量です。
【計算例】
10分間で600件のデータを処理した場合は、
600件÷10分=60件/分
1分当たりのスループットは60件です。
レスポンスタイム
レスポンスタイムとは、利用者が処理を要求してから、応答が返ってくるまでの時間です。
単独の決まった公式を覚えるというよりも、
- 入力時間
- 処理待ち時間
- 実際の処理時間
- 出力・通信時間
などを合計して求めます。
【計算例】
- 通信時間:0.2秒
- 待ち時間:0.3秒
- 処理時間:0.4秒
- 結果送信時間:0.1秒
の場合は、
0.2+0.3+0.4+0.1=1.0秒
レスポンスタイムは1秒です。
プロジェクト管理に関する計算公式
工数
工数とは、作業を完了するために必要な作業量です。
【計算例】
4人で5日間作業する場合は、
4人×5日=20人日
工数は20人日です。
ただし、実際のプロジェクトでは、人数を2倍にしても作業日数が必ず半分になるとは限りません。
進捗率
進捗率は、全体の作業量に対して、どの程度作業が完了したかを表します。
【計算例】
全部で50件の作業のうち、20件が完了している場合は、
20÷50×100=40%
進捗率は40%です。
クリティカルパス
クリティカルパスとは、プロジェクトの開始から終了までの経路のうち、所要時間が最も長い経路です。
複数の経路が示された場合は、それぞれの作業時間を合計します。
【計算例】
- 経路A:作業1が3日+作業2が4日=7日
- 経路B:作業3が5日+作業4が4日=9日
この場合、最長の経路Bがクリティカルパスです。
クリティカルパス上の作業が遅れると、プロジェクト全体の完了も遅れます。
通信時間・データ容量に関する公式
ビットとバイト
データ量を計算するときは、ビットとバイトの違いに注意しましょう。
1バイト=8ビット
通信速度は、bpsという単位で示されることがあります。
bpsは、1秒間に送信できるビット数です。
通信時間
【計算例】
8MBのデータを、8Mbpsの回線で送信する場合を考えます。
単位をそろえると、
8MB×8=64Mビット
したがって、
64Mビット÷8Mbps=8秒
通信時間は8秒です。
実際の問題では、回線利用率や伝送効率が示される場合もあります。
伝送効率を考慮した通信時間
【計算例】
通信速度が10Mbps、伝送効率が80%の場合は、
10Mbps×0.8=8Mbps
実際に利用できる通信速度は8Mbpsです。
画像のデータ量
色情報を圧縮せずに保存する画像のデータ量は、画素数と1画素当たりのビット数から求めます。
【計算例】
横800画素、縦600画素、1画素当たり24ビットの画像の場合は、
800×600×24=11,520,000ビット
バイトに直すと、
11,520,000÷8=1,440,000バイト
です。
なお、実際の画像ファイルは圧縮方式などによって容量が変わります。
割合・構成比・増加率に関する公式
構成比
構成比は、全体の中で対象が占める割合です。
【計算例】
社員100人のうち、営業部員が25人の場合は、
25÷100×100=25%
営業部員の構成比は25%です。
増加率
増加率は、基準となる数値からどの程度増えたかを表します。
【計算例】
売上が100万円から120万円へ増えた場合は、
(120-100)÷100×100=20%
増加率は20%です。
増加後の数値ではなく、増加前の数値で割る点に注意しましょう。
割引後の価格
【計算例】
5,000円の商品を20%引きで購入する場合は、
5,000×(1-0.2)=4,000円
割引後の価格は4,000円です。
2進数・情報量に関する計算
2進数の位取り
2進数では、各桁が右から順番に、
1、2、4、8、16、32……
を表します。
例えば、2進数の「1011」は、
8+0+2+1=11
となるため、10進数では11です。
nビットで表せる情報の種類
【計算例】
3ビットで表せる種類数は、
2の3乗=8通り
です。
反対に、8通りの情報を表すには3ビットが必要です。
ITパスポートの計算問題を解くコツ
公式を丸暗記するだけにしない
公式を文字だけで覚えても、問題文のどの数字を当てはめるのか分からなければ解けません。
公式を覚えるときは、簡単な計算例とセットで確認しましょう。
単位をそろえてから計算する
計算問題では、次の単位変換に注意してください。
- 1バイト=8ビット
- 1分=60秒
- 1時間=60分
- 20%=0.2
- 1人が5日働く=5人日
計算前に、数字の単位へ印を付けるとミスを減らせます。
何を求める問題か先に確認する
問題文を読んだら、最初に、
- 売上高を求めるのか
- 利益を求めるのか
- 割合を求めるのか
- 時間を求めるのか
- データ量を求めるのか
を確認しましょう。
求めるものが分かれば、使う公式を選びやすくなります。
選択肢から逆算する
ITパスポート試験は多肢選択式です。
公式を完全に思い出せない場合でも、選択肢の数値を式に当てはめることで、答えを絞れる場合があります。
概算して、明らかに大きすぎる数値や小さすぎる数値を除外する方法も有効です。
公開問題を繰り返し解く
公式を覚えただけでは、本番で使えるようになりません。
IPAでは、ITパスポート試験の公開問題と解答例が掲載されています。公式を確認した後は、実際の問題で計算方法や出題形式を確認しましょう。
ITパスポートの計算問題は捨てても合格できる?
計算問題が苦手だからといって、すべての計算問題を最初から捨てることはおすすめしません。
ITパスポートでは、計算以外の知識問題も多く出題されます。
しかし、四則演算や割合だけで解ける問題まで捨てると、得点できる問題を逃してしまいます。
まずは、
- 売上・利益
- 割合
- 工数
- 稼働率
- 通信時間
など、比較的覚えやすい公式を優先しましょう。
複雑な問題は後回しにして、基本問題を確実に正解する方が効率的です。
Q&A|「ITパスポートに出る計算問題」に関する よくある質問
Q1.計算問題は何問くらい出題されますか?
試験ごとに出題内容は異なるため、計算問題の出題数が毎回固定されているわけではありません。
特定の問題数だけを想定するのではなく、基本的な公式と単位変換を押さえておくことが大切です。
Q2.計算問題が苦手でも合格できますか?
計算問題が苦手でも、知識問題を含めて合格基準を満たせれば合格できます。
ただし、簡単な割合や売上計算、工数計算まで捨てるのはもったいないです。基本的な公式から優先して覚えましょう。
Q3.公式はすべて暗記する必要がありますか?
すべてを同じ優先度で暗記する必要はありません。
まずは、売上・利益・割合・稼働率・期待値・工数・通信時間など、出題されたときに対応しやすい公式を覚えましょう。
公式だけでなく、簡単な例題を1問ずつ解くことが大切です。
Q4.電卓は使用できますか?
ITパスポート試験では、試験会場への電卓の持込みはできません。
複雑な暗算力が必要というよりも、基本的な四則演算や割合の計算に慣れておくことが重要です。受験時の持込みや試験方式については、受験前にITパスポート試験公式サイトで最新情報を確認してください。
Q5.おすすめの勉強方法は?
次の順番で進めるのがおすすめです。
- 公式の意味を理解する
- 簡単な数字で計算する
- 公開問題や問題集を解く
- 間違えた公式だけを復習する
公式ノートを作る場合は、公式だけでなく、単位と計算例も一緒に書きましょう。
まとめ|ITパスポートの計算公式は例題とセットで覚えよう
ITパスポート試験では、財務・会計、システム性能、プロジェクト管理、通信、割合などに関する計算問題が出題されます。
優先して覚えたいのは、次の公式です。
- 売上高・利益・利益率
- 損益分岐点
- 平均・期待値
- 稼働率
- 工数・進捗率
- 通信時間
- データ容量
- 構成比・増加率
公式を丸暗記するのではなく、簡単な計算例と一緒に覚えることがポイントです。
また、ビットとバイト、秒と分、百分率と小数など、単位変換のミスにも注意しましょう。
最初から難しい問題をすべて解こうとせず、基本的な公式を使う問題から確実に得点できるようにしてください。


