2023年度から基本情報技術者試験の午後問題がCBT形式に完全移行し、「科目B試験」として新たな出題スタイルに変わりました。
これまでの「長文+記述形式」の午後試験とは異なり、科目Bは選択式・小問形式に変更されています。
しかし、その分「どういう問題が出るのかイメージしにくい」「新形式にどう備えるべきか分からない」といった声も多くなっています。
この記事では、科目B試験の概要からサンプル問題の入手方法、具体的な問題例と解説、さらに効果的な学習法までを詳しく解説します。
目次
CBT化された「科目B試験」とは?午後試験からの大きな変更点
従来の午後試験(記述式)から、CBT化された科目Bでは以下のような大きな変更がありました。
- 記述式ではなく、すべて選択式の小問形式
- 出題数は全20問、100分で解答
- 問題の分野が事前に明示されないため、全範囲から対策が必要
実務的な力や応用力が問われる傾向は変わりませんが、解答形式が簡略化された分、正確な知識と素早い判断力がより重要となっています。
基本情報技術者試験・科目Bの概要
試験形式
【科目B】
試験時間 100分
出題形式 多肢選択式
出題数・解答数 出題数:20問 / 解答数:20問
- CBT形式(パソコン画面で選択式解答)
- 問題数:20問(1問あたり約 5 分)
すべてが選択式であるため、記述の練習は不要ですが、「読解力」「理解の深さ」「問題の取捨選択」が合否に大きく影響します。
出題分野
- アルゴリズム(擬似コード/フローチャート)
- ネットワーク
- データベース(正規化、SQLなど)
- 情報セキュリティ
- ソフトウェア設計・プログラム読解
- プロジェクトマネジメント
出題範囲は広く、全分野からまんべんなく出題される可能性があります。
科目A試験との違いと連動性
- 科目Aは知識問題が中心
- 科目Bは知識をもとに「考えて解く」応用力を問う
- 科目Aで学んだ内容を活かして、設問の意図を読み取る力が問われる
サンプル問題の入手方法
IPA公式サイト
IPA(情報処理推進機構)の公式サイトでは、最新の科目B試験に対応したサンプル問題(問題冊子+正答)を無料公開しています。
- 科目B試験の問題構成がよく分かる
- 実際のCBTに近い出題傾向
- 令和7年4月現在、Ver.9.1シラバス準拠
問題冊子・解答例(2024年度、令和6年度) | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
無料PDFファイルとして入手可能
- サンプル問題はPDFで配布されており、印刷して繰り返し演習可能
- 解説は含まれていないため、自分で調べながら理解を深める必要がある
CBT準拠のオンライン模擬問題
一部の学習サイトでは、科目Bを模したオンライン模試を提供しています。
- スタディング(有料):CBT形式に完全対応
- 過去問道場(無料):簡易形式での模擬問題あり
代表的なサンプル問題と解答・解説例
アルゴリズム問題(フローチャート/擬似コード)
出題例:フローチャートの各処理を読み、処理結果を選ぶ問題
ポイント
- フローチャートの流れを正確に追う
- 処理ごとの変数の変化をメモしながら整理
- 条件分岐の動きを把握するのがコツ
対策
- 擬似コードや図の処理を紙に書き写しながらトレース
- 小さな動作単位で読み解く練習が有効
データベース設計に関する問題
出題例:正規化の手順、SQLクエリの内容、リレーションの読み取り
ポイント
- 関係スキーマとデータの整合性を理解する
- SQL文が「何をしているのか」を正しく読み取る
- 問題文に出てくるテーブル構造の理解が必須
対策
- 基本的なSQL文法と正規化のルールを暗記する
- ER図とテーブルの関係性を図解で整理する練習がおすすめ
ネットワークやセキュリティ分野の事例問題
出題例:ファイアウォールの設定、IPアドレスの選定、脆弱性の種類に関する説明文選択
ポイント
- 実務知識に近い内容が出るため、表面的な暗記では対応できない
- 設定例や手順を問われるため、概念の理解が必要
対策
- 用語の意味+使われ方をセットで覚える
- 実際のシナリオをイメージして問題を読むことが効果的
プログラム読解・設計問題(PythonやC言語形式)
出題例:コードの一部を読んで、処理結果を判断する選択肢を選ぶ
ポイント
- 擬似コードで表現された処理を頭の中でシミュレーションする力が求められる
- 配列やループ構造、関数の動作の理解が前提
対策
- コードを1行ずつ読み解く力をつける
- 紙に書き出して動きを追う練習を繰り返す
科目B問題の解き方と攻略法
時間配分と問題選択のコツ
- 100分で20問=1問あたり5分以内が目安
- 難しい問題はスキップ機能を活用し、後で戻る
- 確実に取れる問題から解くことで精神的な余裕が生まれる
フローチャート・擬似コードへの慣れ
- 読むことに慣れるには、毎日1題でもよいので継続練習
- 自作でフローチャートを書いてみると理解が深まる
分野別の勉強優先度とバランス
優先順位の目安(難易度・出題頻度の観点から)
- 高:アルゴリズム、セキュリティ、データベース
- 中:ネットワーク、プログラム読解
- 低:プロジェクトマネジメント(知識問題が多め)
解説付きの模試や講座の活用
- 自分では理解が難しい問題は、解説付きの教材が有効
- スタディングやYouTube講座での解説視聴もおすすめ
- 科目B対応の模擬試験を通じて、演習と復習のサイクルを作る
おすすめの対策教材・学習サイト
IPA公式サンプル問題
- 無料でPDF形式にて公開
- 科目Bの出題形式に最も近い内容
- 最新シラバス準拠で、基本の演習素材として最適
書籍・通信講座
- いちばんやさしい 基本情報技術者 絶対合格の教科書+出る順問題集:科目Bに対応した章あり
- うかる!シリーズ 科目B対応テキスト:演習問題+解説が充実
- スタディング:動画+演習+模試が一体化しており、CBT形式対策に強い
YouTube講座・アプリ学習
- 「【基本情報技術者試験YouTuber】すーさん」「ITすきま教室」など、科目Bの考え方を動画で解説
- コード実行ができるアプリ(Paizaなど)と併用することで理解が深まる
まとめ
科目B試験は記述式から選択式へと変わりましたが、求められる実務的な知識や論理的思考力には変わりがありません。
- まずはIPAのサンプル問題で出題形式をつかむ
- 分野ごとの基礎知識を補強しつつ、フローチャートやSQLなどの応用力を磨く
- 正答率だけにこだわらず、解説を読んで「なぜそうなるのか」を理解することが合格への近道です
繰り返し演習と問題慣れを重ね、科目Bへの不安を自信に変えていきましょう。