IT系の国家資格として広く知られている「ITパスポート(iパス)」と「基本情報技術者試験(FE)」。
これからITスキルを身につけたいと思っている方や、就職・転職のために資格取得を考えている方の中には、
- 「どっちの資格を取ればいいの?」
- 「内容がかぶってるなら、どっちかだけでいいんじゃない?」
- 「順番に受ける意味あるの?」
と迷っている方も多いのではないでしょうか?
実は、この2つの試験は出題範囲に共通点(重複)がありながらも、目的や難易度は大きく異なります。
この記事では、ITパスポートと基本情報技術者試験の違い・重なる内容・どちらから受けるべきか・両方取る意味はあるのかについて詳しく解説します。
目次
ITパスポートと基本情報の位置づけの違いとは?
まず、2つの資格がどのような人を対象としていて、どのようなスキルレベルを求められるのかを整理しておきましょう。
項目 | ITパスポート(iパス) | 基本情報技術者試験(FE) |
---|---|---|
試験区分 | レベル1(入門レベル) | レベル2(初級エンジニアレベル) |
対象者 | IT初心者、文系学生、社会人全般 | システム開発・IT業務を目指す人、情報系学生 |
難易度 | やさしめ(合格率 約50~60%) | 中~難しめ(合格率 約25%前後) |
試験形式 | CBT(随時)/選択式 | CBTまたは筆記(年2回)/選択+記述+プログラミング |
出題内容 | 幅広いITリテラシー全般 | 開発・設計・アルゴリズム・セキュリティ・マネジメント |
ITパスポートは「ITの基本リテラシーを身につける」ための試験
企業の総務・営業・マーケティングなど、IT部門以外の職種でも求められる知識が多く含まれており、全社会人におすすめできる基礎資格です。
基本情報は「IT技術者としての土台となる知識を問う」試験
プログラミングやアルゴリズム、システム開発プロセスなど、より技術寄りの専門知識が求められます。IT職志望の人には避けて通れない資格です。
ITパスポートと基本情報で“重複”している内容は?
実は、ITパスポートで学ぶ内容の多くが、基本情報試験の「午前問題」に登場します。
つまり、ITパスポートの学習内容は、基本情報の“基礎力”として活かせるのです。
重複している主な分野と具体的なトピック
分野 | 共通内容の例 |
---|---|
ストラテジ系(経営・戦略) | 経営戦略、SWOT分析、BPR、ITガバナンス、CSR、法務、知的財産 |
マネジメント系(開発・管理) | プロジェクトマネジメント、品質管理、開発モデル(ウォーターフォール/アジャイル) |
テクノロジ系(IT技術) | ハードウェア/ソフトウェア、ネットワーク、セキュリティ、データベースの基礎 |
これらの内容は、ITパスポートでは「広く・浅く」問われ、基本情報では「深く・技術的に」問われます。
例:
- ITパスポートでは「セキュリティの三要素(CIA:機密性・完全性・可用性)」が選択問題として出る
- 基本情報では「セキュリティポリシーの設計」や「暗号化方式の選定」など、より実務的・技術的な応用問題が出題されます
両方取得する意味はある?
IT初心者や非情報系の方には「ITパスポート → 基本情報」がおすすめ
- いきなり基本情報だと、難しすぎて挫折する可能性も…
- まずはITパスポートで基礎固めをして、知識の“土台”を作っておく方が効率的
- 特に文系出身やIT未経験の人にはこのステップが非常に効果的です
IT系の学生や実務経験者なら、いきなり基本情報もOK
- ある程度プログラミングやネットワークの知識があるなら、ITパスポートを飛ばしても問題なし
- ただし、午前試験の内容(ストラテジ・マネジメント)は意外と落とし穴になりやすいので、余裕があればITパスポートで対策しておくと安心です
学習の流れとしてのメリットも大きい
- ITパスポートの学習をしていると、基本情報の午前問題が格段に楽になる
- 特に、IT用語や開発プロセス、情報セキュリティの理解がしっかりしていると、応用問題でも対応しやすくなる
学習時間の目安とステップアップイメージ
試験 | 学習時間の目安 | 難易度 | コメント |
---|---|---|---|
ITパスポート | 約50~80時間 | ★☆☆☆☆ | 毎日1〜2時間の学習で1〜2か月で合格可能 |
基本情報技術者 | 約150~250時間 | ★★★☆☆ | プログラミングやアルゴリズムに時間がかかる。独学で3か月〜半年が目安 |
※個人差あり。IT経験や学習環境によって異なります。
まとめ|ITパスポートと基本情報は、重複していても「順番に取る価値あり」!
- ITパスポートは、ITリテラシーを体系的に身につける「入口」の資格
- 基本情報は、IT技術者としての基礎を固める「登竜門」的な資格
- 両者には多くの重複があり、ITパスポートの知識が基本情報で活かせる
- 初心者なら「ITパスポート → 基本情報」の順がもっとも無理なく効率的
- ITに関する理解を一段ずつ深めながらキャリアアップに繋げよう
IT業界を目指す方、あるいは社会人として最低限のIT知識を持ちたい方にとって、この2つの資格はどちらも非常に有益です。
時間があるなら段階的に取得していくことで、自信とスキルを着実に積み上げていけます。
「ITが苦手…」という人ほど、まずはITパスポートから一歩踏み出してみましょう!