情報システムの設計・構築において高度な知識と経験が求められる「システムアーキテクト試験」。
ITエンジニアの中でも、特にアーキテクチャ設計や要件定義に深く関わるポジションを目指す方にとっては、登竜門とも言える国家資格です。
一方で、午後Ⅰ・午後Ⅱの記述問題や論文対策のハードルが高く、独学では難しいと感じる受験者も少なくありません。
特に午後Ⅱは、自分の業務経験をベースに論理的・構造的に論文をまとめ上げる力が求められるため、しっかりとした事前準備が必要です。
この記事では、2025年最新のシラバスや出題傾向を踏まえた上で、目的別・パート別に最適な参考書7冊を厳選してご紹介します。
初学者から実務経験者まで、それぞれの学習フェーズに合わせた書籍選びのヒントを提供しますので、「どの教材を使えばいいかわからない」という方は、ぜひ参考にしてください。
目次
システムアーキテクト試験の出題傾向と対策のポイント
システムアーキテクト試験とは?高度情報処理技術者試験の上位資格
システムアーキテクト試験(SA)は、情報処理技術者試験の中でも高度区分に位置づけられる国家資格で、システムの企画から設計、要件定義、運用までを包括的に理解し、推進できる人材が対象です。
実務経験と論理的な思考力を問われるため、ITエンジニアの中でも“キャリア中級〜上級”向けの試験といえるでしょう。
システムアーキテクト試験
4.試験時間・出題形式・出題数(解答数)
午前Ⅰ
- 試験時間 9:30~10:20(50分)
- 出題形式 多肢選択式(四肢択一)
- 出題数・解答数 出題数:30問/解答数:30問
午前Ⅱ
- 試験時間 10:50~11:30(40分)
- 出題形式 多肢選択式(四肢択一)
- 出題数・解答数 出題数:25問/解答数:25問
午後Ⅰ
- 試験時間 12:30~14:00(90分)
- 出題形式 記述式
- 出題数・解答数 出題数:3問/解答数:2問
午後Ⅱ
- 試験時間 14:30~16:30(120分)
- 出題形式 論述式
- 出題数・解答数 出題数:2問/解答数:1問
午前Ⅰ・Ⅱ:基礎知識(応用情報レベル)
IT知識やアルゴリズム、セキュリティ、法制度など、広範な分野から出題されます。
応用情報技術者試験の内容と重複している部分が多く、過去に応用情報を受験している方はその知識を活かせます。
午後Ⅰ:設計・開発の応用力が問われる記述式
与えられたシステム開発のシナリオに対し、設問に沿って記述する形式です。
内容理解だけでなく、簡潔かつ論理的に答えを表現する記述力が問われます。
午後Ⅱ:論文試験(実務経験の論理的な展開力がカギ)
実務経験を元に、自分のプロジェクトを「構想→課題→対応策→効果」といった流れで論述する試験です。
過去問や論文対策書を通じて“型”を身につけることが重要です。
各パートに適した教材の選び方が重要
午前は知識系テキスト、午後Ⅰは問題演習、午後Ⅱは論文対策と、目的別に教材を分けて効率的に取り組みましょう。
午前対策におすすめの参考書
『情報処理教科書 システムアーキテクト』
出題範囲を網羅し、初心者でも取り組みやすい内容です。
図表や具体例が豊富で、午後Ⅰ・Ⅱ対策にもつながる基礎力が身につきます。
午後Ⅰ対策におすすめの問題集
『ALL IN ONE パーフェクトマスター システムアーキテクト』
「午前Ⅱ試験」「午後Ⅰ試験」「午後Ⅱ試験」の3つの試験すべての対策ができるオールインワンのテキスト&問題集。
『システムアーキテクト「専門知識+午後問題」の重点対策』
午前Ⅱを徹底分析し、午後Ⅰ試験・午後Ⅱ試験の攻略法を丁寧に解説。
『システムアーキテクト 総仕上げ問題集』
分野別の知識確認テストと過去10期分の過去問、オリジナル実力診断テストなど充実の内容。
午後Ⅱ(論文)対策におすすめの参考書
『システムアーキテクト 午後Ⅱ 最速の論述対策』
不合格にならないための「6つの要件」と「6つの作成ルール」を解説。
実務経験が浅い人向けのサポート教材・対策法
論文ネタが少ない場合のアプローチ方法
架空プロジェクトを想定し、「上流工程」「要件定義」「課題解決」のストーリーを練習します。
架空プロジェクトで論理展開力を身につける
参考書や事例集を使って論文構成の型を学び、繰り返し書くことで“ストーリーモデル”を定着させます。
添削サービスや勉強会の活用もおすすめ
一人での学習に限界を感じたら、勉強会や添削講座の利用も視野に入れると良いでしょう。
客観的なフィードバックは大きな成長につながります。
参考書の活用法と学習スケジュール例
午前対策
- 平日30分の学習+週末2時間の復習
- 市販テキストで頻出分野を重点的に対策
午後Ⅰ対策
- 2日に1問のペースで記述問題を解く
- 解答例と比較して改善点を記録
午後Ⅱ対策
- 試験の1ヶ月前から、週に1本の論文練習
- 添削または自己採点で構成・表現力をブラッシュアップ
共通のポイント
- 過去問を繰り返し解き、出題パターンを習得
- 各回の復習を通じて弱点を補強
まとめ
システムアーキテクト試験は“戦略的参考書選び”が重要
学習の質は教材選びで大きく左右されます。
網羅性・実践性・論述力の3点を意識して選びましょう。
自分の苦手分野に合わせて、テキスト+問題集+論文対策を組み合わせよう
各パートに適した学習戦略を立て、効率よく実力を高めていくことが合格への近道です。
合格後のキャリアアップに向けて、計画的に取り組もう
合格すれば、システム設計・PM・IT戦略担当などへの道が拓けます。学びのプロセス自体がキャリアの財産になります。