システム開発の現場では、エンジニアやプロジェクトマネージャー(PM)など、さまざまな役割の人が関わっています。
その中でもシステム全体の設計を担当する「システムアーキテクト」は、技術とビジネスの両面を理解し、システムの設計・最適化を行う重要な役割を担います。
- システムアーキテクトとは具体的にどんな仕事をするのか?
- どのようなスキルや資格が必要なのか?
- エンジニアとの違いやキャリアパスは?
本記事では、システムアーキテクトの役割や必要なスキル、取得すると有利な資格について詳しく解説します。
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システムアーキテクトとは?
システムアーキテクト(System Architect)とは、ITシステムの全体設計(アーキテクチャ設計)を担当する専門職です。
システム開発において、要件定義から基本設計・技術選定・システムの最適化までを担当し、開発チームを技術的にリードします。
システムアーキテクトは、単なるプログラマーやエンジニアではなく、「システムの設計思想を決める」ポジションであり、企業のIT戦略に大きな影響を与える重要な役割を担います。
システムアーキテクトの主な業務内容
- システムの要件定義・基本設計(どのようなシステムを作るべきかを決める)
- アーキテクチャの設計(システム全体の構造・技術選定)
- システムの最適化・パフォーマンス向上
- クラウドや最新技術の導入計画(AWS、GCP、マイクロサービスなど)
- エンジニアとの技術的な調整・レビュー
- プロジェクトマネージャー(PM)やクライアントとの折衝
システムアーキテクトと他の職種との違い
システムアーキテクトは、エンジニア・プロジェクトマネージャー(PM)・ITコンサルタントと連携しながらシステムの設計を担当します。
以下の表で、それぞれの職種との違いを整理します。
職種 | 主な役割 | 求められるスキル |
---|---|---|
システムアーキテクト | システム全体の設計・最適化 | 設計力・技術選定・要件定義 |
プログラマー(PG) | コードを書く(実装担当) | コーディングスキル |
システムエンジニア(SE) | 設計・実装・テストを担当 | 設計力・実装力 |
プロジェクトマネージャー(PM) | 進捗管理・予算管理 | マネジメント・調整力 |
ITコンサルタント | ビジネス戦略の提案 | コンサルティングスキル |
システムアーキテクトは、プログラマーやSEのように「手を動かしてコードを書く」ことよりも、「システム全体の設計・最適化」に重きを置く職種です。
システムアーキテクトに必要なスキル
1. システム設計・アーキテクチャ設計スキル
- ソフトウェアアーキテクチャの設計能力(モノリシック、マイクロサービスなど)
- クラウドの設計・運用スキル(AWS、GCP、Azureなど)
- データベース設計(SQL/NoSQL)
2. プログラミング・フレームワークの知識
- Java、Python、C# などの主要言語の理解
- Spring Boot、Django、Node.js などのフレームワークの知識
- フロントエンド(React、Vue.js など)の基本知識
3. インフラ・クラウドの知識
- AWS、GCP、Azure などのクラウド環境の設計・運用スキル
- コンテナ技術(Docker、Kubernetes)の理解
- ネットワーク・セキュリティの基礎知識
4. プロジェクトマネジメント・コミュニケーション能力
- PMやクライアントとの折衝・要件定義
- エンジニアチームとの技術的な調整・レビュー
- 開発プロジェクトのリーダーシップ
システムアーキテクトにおすすめの資格
システムアーキテクトとしてのスキルを証明するために、以下の資格が役立ちます。
1. システムアーキテクト試験(SA試験)(国家資格)
- 試験実施機関:IPA(情報処理推進機構)
- レベル:高度情報処理技術者試験(レベル4)
- 内容:システム設計、要件定義、クラウド、プロジェクト管理など
日本国内でシステムアーキテクトを目指すなら最も評価される資格
公式HP:https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/sa.html
2. AWS Certified Solutions Architect - Professional(AWS認定 ソリューションアーキテクト プロフェッショナル)
- 試験実施機関:AWS(Amazon Web Services)
- 内容:AWS上でのシステム設計・アーキテクチャ設計
クラウドを活用するシステム設計スキルを証明できる
公式HP:https://aws.amazon.com/jp/certification/certified-solutions-architect-professional/
3. TOGAF(The Open Group Architecture Framework)
- 試験実施機関:The Open Group
- 内容:エンタープライズアーキテクチャ設計のフレームワーク
海外の企業やグローバル企業では評価されやすい
公式HP:TOGAF® - オープン・グループ・ジャパン ホームページ
システムアーキテクトの年収・キャリアパス
システムアーキテクトの年収は、企業の規模や経験によって異なりますが、一般的にSEやプログラマーよりも高めです。
経験年数 | 想定年収 |
---|---|
未経験・初心者 | 400万~600万円 |
中堅(5~10年) | 600万~900万円 |
ベテラン(10年以上) | 900万~1,500万円以上 |
キャリアパスとしては、システムアーキテクト → テックリード → CTO(最高技術責任者) という流れでキャリアアップすることも可能です。
まとめ|システムアーキテクトは技術とビジネスの橋渡しをする職種
- システムアーキテクトは、システム全体の設計を担当する技術職
- プログラマーやSEと異なり、設計・技術選定・最適化を行う
- クラウド、アーキテクチャ設計、プロジェクト管理のスキルが必要
- システムアーキテクト試験(SA試験)やAWS認定資格が役立つ
システムアーキテクトは、技術とビジネスの両方を理解し、システムの全体最適化を行う重要な役割を持つ職種です。
システム開発の上流工程に関わりたいエンジニアにとって、目指す価値のあるキャリアパスと言えるでしょう。